2012年01月10日

「生まれてはみたけれど」「東京の合唱」

今日も神保町シアターへ。小津安二郎の「生まれてはみたけれど」と「東京の合唱」を伴奏してきました。ご来場いただいた皆様、ありがとうございました!

「生まれてはみたけれど」は唯一パリで伴奏したことのあった小津作品で、それまで三大喜劇王の作品ばかり伴奏していた私にとって初めての日本の作品でもあったので、とても思い入れがあり、また機会をいただけて嬉しかったです。「生まれてはみたけれど」の斎藤達雄さんは「港の日本娘」のヒモ男とはうってかわって、威厳のあるお父さん役。

前に伴奏したのは4年くらい前だったと思いますが、当時と解釈はそれほど変わっていなくて、音楽は場面にあわせるより、特定の人物の心の動きをなぞるつもりで紡いでいきました。太朗ちゃんの家の活動写真上映会で、尊敬するお父さんの卑屈な態度を目の当たりにして、自分のお父さんが一番偉いと信じて疑わなかったのに、そうじゃなかったっていう事実に押しつぶされそうになっている兄弟の心を、音で表出したいと、今回も試みました。

終演後にお客様とそのシーンの話をちょっとしたんですけど、あれって昭和の風景というか、例えば小学校で子供相手に上映したとして、今の子供達の共感を得るのは難しいかも・・・と思いました。家父長制というか、家でのお父さんが権威のある絶対的な存在じゃないと、会社で上司に媚を売っているひょうきんな姿を見せられても、あそこまでショックを受けないんじゃないかと。

「東京の合唱」は今回初めて伴奏させていただきました。あさっての上映も私が担当するので、また今日とは違う試みをできたらと思っております。

明日は成瀬作品を三本、「腰弁頑張れ」「夜ごとの夢」「君と別れて」を伴奏します。
posted by eri at 23:41| Comment(0) | 本番 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする